災害対策本部の仕事

さまざまなインシデントや危機に対応するための方法を書いていきます。

新幹線車内の殺傷事件に思う、不便で料金が高くなっても新幹線を使いますか?

9日夜に、東海道新幹線の新大阪駅行き最終電車で、非道な殺傷事件が起こりました。

男性の1名が亡くなられています。ご冥福をお祈りいたします。

www.jiji.com

 

 

報道によれば、犯人は「誰でも良かった」「むしゃくしゃしてやった」とのこと。

発生を防ぐのは困難な事件だったと思われます。

 

Twitterなどのつぶやきを観ていると、金属探知機など、新幹線への保安措置を追加することを求める声が上っています。

 

事件の悲惨さ、誰が乗っているのかわからない大量輸送列車への怖さから、このような声があがるのは当然のことと思います。

 

高速なわりには飛行機より安く、かつ搭乗直前までネットで予約が変更できる新幹線は、そのコストと利便性ゆえの人気があります。

 

追加の保安措置がなされた場合、簡単に想像できますが、コストは上がります。

また「急いで新幹線に駆け込んでギリギリ間に合った」的な利便性もなくなります。

 

新幹線を運営する鉄道各社は、保安措置の追加には否定的です。

 ただ、一人一人の手荷物を検査する空港並みの検査方法の導入には、各社とも「乗客の利便性を著しく損ない、非現実的だ」として消極的だ。東海道新幹線の場合、1日45万人が利用し、1時間に最大15本以上が発車する。あるJR幹部は「新幹線はインターネットを通じて出発直前まで予約を変更できるサービスが人気を集めている。乗りたいと思った便に飛び乗れる利便性こそが強み」と話す。

digital.asahi.com

 

記事にはこのような指摘もあります。

国の運輸安全委員会は、のぞみ放火事件の調査報告書で「異常認知から避難誘導への必要な時間はなかった」と、閉ざされた車内での対応の難しさを指摘。事件時には客も自主的な対応が必要としていた。

 

われわれの目の前にある選択肢は、次の2択です。

しかしながら、現実的には選択肢2を受け入れるしかないようです。

  1. 新幹線に飛行機並みの保安措置を求める(高くなる、不便になる)
  2. 脅威を受容して社会人ひとり一人の対応力を高める

 

今回の事案でもっとも気になるのは、犯人を確保したあと、被害者の応急救護はできていたか?ということです。

 

おそらく車内には、止血帯を持ち合わせていた人はいなかったと想像します。

 

「客も自主的な対応」と言われてしまっている以上、われわれの日頃の備えが重要になります。

 

胸骨圧迫はできますか?

AEDは使えますか?

止血の知識はありますか?

 

ひどい出血の場合、止血帯を持っているかどうかが、生死を分けることもあります。
 

このターニケットは銃弾や爆風で四肢にひどい怪我を負ったときに使う、米軍仕様のものです。

 

車内の放火などからの脱出には、このような防煙マスクも有効です。

 

いずれも持ち歩くのは若干気後れしますが(事実、ときどきカバンが重いときは家に置いていきます)命のコストと思えば安いものと自分に言い聞かせています。